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場所の記憶を蘇らせ 次の100年を創っていく「AT ART UWAJIMA」に潜入レポート!

多くの文化人が愛した木屋旅館
木屋旅館2Fから1Fを見たAT ART UWAJIMA レセプションパーティーの様子
漫画家 ほし よりこ氏が書いた小冊子
発起人である建築家 永山 祐子氏

「AT ART UWAJIMA」は愛媛県南部の宇和島市で開催している芸術展である。1615年伊達秀宗が宇和島藩を創業し繁栄を極め、現在ではリアス式海岸という特殊な地形により日本有数の漁港数を誇る。水産業や農産物関係の製造加工業などが盛んに行われている。食文化も独自に発展をとげ、色鮮やかな ふくめんやじゃこ天が有名。

このプロジェクトは「場所の記憶をもう一度蘇らせよう」というコンセプトがある。主催であるNPO法人 SO-ENの吉澤保幸氏曰く、「先人の記憶を大切にすることはもちろん、これから自分達が記憶を積み重ねる活動を毎年続けていき、次の100年を創っていく。そして宇和島をより高みに押し上げ、世界に誇れる日本の場所になることを目指しています」

アートが展開されている会場は「木屋旅館」と「SITUATIONALLY」という宇和島きさいやアーケード内にある旧矢野文林堂(文具店)をリノベーションした場所になる。

木屋旅館は100年前に建てられ、作家の司馬遼太郎、元首相の犬養毅などの多くの文化人に愛された旅館である。木屋旅館は引き算というコンセプトのもと、建築家 永山裕子によりリノベーションされ、1日1組の宿泊施設として見事に復活。その木屋旅館で建築家 永山祐子、現代美術家 束芋、漫画家 ほしよりこ の3名によって、長年積み重ねてきた空間の価値・雰囲気を上手く映像で語りかけてくるような作品に仕上がっている。また来場者は是非とも漫画家 ほしよりこが書いた木屋旅館を舞台にした小説を購入して欲しい。小説の舞台に入りこんだ気持ちになり、より楽しく観ることが出来るだろう。

SITUATIONALLYではアーティスト 藤元明がストリート文化以降の表現を使うサイドコアと協力し、今回のプロジェクトに合う若手アーティストを探す。短い制作期間ではあったが初動の勢いのままアーティスト 阿部亮太郎、菊地良太、木村泰平、コムロタカヒロの4名により作品が作り上げられた。アーケードを行き交う市民もその場所だけいつもと違う景色に敏感に反応し眺めていた。

このプロジェクトは建築家 永山裕子が木屋旅館の仕事を通じて宇和島が好きになり、単独で企画を考え動き始めたのがキッカケである。そこから友人である束芋を誘い、その勢いのままSO-ENやアーティストの賛同を得て今に至る。

宇和島の魅力として現代美術家 束芋、アーティスト 菊地良太に聞いたところ共通点がある。それは「人」だ。作品を制作するのにあたりSO-ENの人が宇和島を動き回り資料を集めてくれたり、宇和島市民の協力が無ければ完成しなかったと言う。また四国の魅力として束芋氏曰く「四国はとにかくパワフル。そして4県全て文化・食べ物・性格が全然違う。これは歴史の深みというか、性格までもが形成されるぐらいの時間の積み重ねによるものだと考えるし、非常に魅力的だと思う」

瀬戸内国際芸術祭2013の夏シーズンも始まり、相乗効果で宇和島まで足を運んでくれることが期待出来る。宇和島はこれを機に新たな記憶の積み重ねを始める。徳島県・香川県・高知県の各地域も、このような動きを地道に始めていかなければならないだろう。各地域の土地柄や歴史に根ざした活動を行い、内外に魅力ある“場”を発信していかなければならない。

(取材=上野 真弘)

店舗データ

店名 AT ART UWAJIMA
住所 木屋旅館:〒798-0041 愛媛県宇和島市本町追手2丁目8-2 SITUATIONALLY:〒798-0032 愛媛県宇和島市恵美須町1丁目5-6
電話 NPO法人 SO-EN:080-3163-8643
営業時間 開催期間:7月24日~8月22日 木屋旅館:14:00~17:00 SITUATIONALLY:10:00~17:30
定休日 会期中無休
関連リンク AT ART UWAJIMA
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