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【地域活性の現場】賑わいをもたらす情報プラットホーム 香川県観音寺市まちなか活性プロジェクト Re:born.K(リボーンドットケー)とは?


香川県観音寺市は県西に位置する小さな町である。ちなみに四国の人々がイメージする観音寺といえば、寛永通宝を象った巨大な砂絵「銭形砂絵」や、冷凍食品加ト吉ブランドでおなじみのテーブルマークの本部がまず頭に浮かぶ。だが地元からはそんなに話題が上がらない。実際のところ、他にも魅力的なモノもある。地産品のレタスはミネラル豊富で市場では高値で取引されており、全国的に生産量が多い香川においてもその収穫量の4割が観音寺で収穫されている。また瀬戸内海に面している事もあり、魚介類も豊富に穫れる。海沿いに並ぶ漁港では日々新鮮な魚が水揚げされ、主に県内の市場に流通している。そして漁港の近くには、蒲鉾メーカーが立ち並び、贈答用や業務用として知る人ぞ知る、地元のご当地グルメとしての位置も確立している。そして琴弾公園から見える美しい瀬戸内海の島々。素晴らしい光景である。

銭形砂絵と瀬戸内海

産業も町の持つ風景も素晴らしいモノがあるが、今注目を浴びている場所もある。それは琴弾公園の麓に広がる観音寺町、旧市街の人々が中心になっている取り組みだ。 Re:born.K(リボーンドットケー)は町内に賑わいをもたらしている組織である。観音寺市を中心に県内外の人々が交流を持てるような仕掛けを実践している。今回は組織の代表者である豊浦氏から今までの取り組みやこれからの方向性、また地元に対する情熱もお聞かせ頂いた。

豊浦氏

豊浦氏は満久屋豊浦商店の6代目当主。創業明治10年の看板商品である「あいむす焼き」は小海老の身を4〜5匹を鉄板で蒸し焼きにした商品である。原材料は小海老のみ。無添加で一枚一枚手焼きで仕上げている。香ばしい香りと海老の旨味が絶妙な味わいとなっている。その美味しさは天皇陛下献上や明治神宮奉納の実績が物語っている。豊浦氏は観音寺に根付いた人材である。地元に賑わいをもたらす為に Re:born.Kを立ち上げた。今、香川県内で「町歩き」といったイベントが主流となっているのだが、この「町歩き」も最初に取り組んだのがこの観音寺である。地方の旧市街等の趣のある町を大勢で歩き、地元の職を感じ、地元の人々と交流を深め、地元の食を味わうイベントである。取材に伺った日も豊浦商店に地元の高校生が大勢詰めかけていた。聞くと、市の観光協会との取り組みの一環であるとのことだ。学生の皆はあいむす焼き職人の作業に見入っている。

観音寺空き店舗取り組み

町のPRはSNSを中心に外に発信をしている。祭りや新しいイベントをする際は会議の様子からFacebookで配信する。何気ない町の様子やメンバーの日々の事も全てを公開している。町に対する予習が出来るので、観音寺を訪れる前に閲覧しておけば、親近感が湧いてくる。このような取り組みは各地方の観光活性の仕掛けとしても参考になると思う。また町の空き店舗を使い、パブリックビューイングやアーティストを集めたワークショップを定期的に開催している。またマッチングを目的とした展示会の実行も予定されている。町内の会場を利用してニュービジネスが生まれる場所を提供するのだ。

観音寺風景

観音寺の観光資源は「人」である。もちろん伝統的な食文化や趣のある建造物も興味がそそられる。しかし、この町に根付いているのは地元の人達の"あたたかさ"  取材中も老若男女、沢山の人から声をかけられた。たわいもない日常会話だが、最後には心地よさだけが残る。「人」を全面に押し出した取り組み、地域活性の仕組みが構築できたら、この町に大きな賑わいをもたらす事ができるのではないだろうか?今後の活動に注目である。(池添 翔太)

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