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【生産者リポート】蓮根の一大産地、徳島県鳴門市で根付く「蓮根茶」全国から取り寄せが絶えない魅力とは?


徳島県鳴門市は県北に位置し、鳴門金時や鳴門わかめなど食材の宝庫として有名で、鳴門海峡で穫れる鳴門鯛は全国的に高値で取引される高級食材である。特にこの町の肥沃な土を存分に活かした蓮根を生産する鳴門市は全国有数の産地として有名だ。昔から蓮根農家が多いこの地では、蓮の葉をお茶にする文化が根付いている。そんな文化を後世に残したいと、鳴門市の蓮根農家の奥さんが主体となった「れんこん女性グループ」が生産販売を行い全国にその文化が普及している。

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蓮の葉には食物繊維やタンニン、カリウム等が豊富に含まれており便秘解消や花粉症の症状軽減などの効果があると言われている。産直市で購入した人や観光で鳴門に訪れた人から口コミで広がり、現在では生産が始まる7月になると注文の電話が鳴り止まない程の賑わいを見せている。今回はそんな蓮根農家の奥さんのもとに訪れ実際の収穫、製造について話を聞いた。

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蓮の葉の収穫は朝が早い。収穫後、町の農協の横にある製造工場に農家の奥さんが集まり蓮の葉の洗浄と加熱をしてからカット、乾燥をする工程を行う。早朝から集まった10人前後で行い、その日の内に終了させる。そのスピード感と息の合った連携には驚かされ、収穫時から恐ろしい程のスピードで進められる工程に付いていくのに必死になる。「ここのスピードで味がきまるんよ」と奥さんは言い、渋みと香りのバランスが毎年均一に取れるのは原料だけではなく、この人たちの努力があっての事だと気付かされる。

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毎年恒例の行事になった蓮根茶の製造も近年製造量が足りなくなってきていると言う。奥さん方は「この作業は人数もいるし、時間も使う。毎年集まる事が難しくもなってきている」と話している。そこで「れんこん女性グループ」が立ち上がり、今年大きな変化を起こそうとしている。製造開始から20年以上同じで馴染みのある商品形態の変更に取りかかったのだ。「安定供給」と「若い世代へのPR」という二つの想いを実現する為に新パッケージを取り入れようとしている。

 

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昨年までは毎年数千パックを製造し茶葉をそのまま袋詰めし、地元の産直市の出店や電話注文での販売を主にしてきた。今年は従来のパッケージも残しつつ、新たに小包装にも挑戦している。1パックあたりの内容量を減らす事で製造量は増えて、価格も抑える事が可能になり試しに購入しやすくなるという。より広い世代に味わってもらいたいという「れんこん女性グループ」の取組みは、文化を残したいという想いが感じられる。想いのこもった商品が広がりを見せる事は至極当然のようにも感じる。

食材の宝庫と言われる、徳島県鳴門市で様々な食材が輝きを放つのは食材そのものの魅力だけでなく、食材を作る人たちの想いを感じられる物が多いからだと気付かされた。ここ鳴門の土地で一番の宝は食材を作る人たちではないだろうか。今後の取組みにも注目していきたい。(岡本 哲弥)

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