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【食品加工者リポート】日本初!アイスクリームでハラル認証取得に成功した「有限会社高知アイス」!!土佐の生産者達の情熱をアイスに注ぐ


高知県中西部に位置する伊野町は、一級河川の仁淀川が流れており、伝統的に製紙業が盛んな町になる。その伊野町に日本で初めてアイスクリームでハラル認証を取得した「有限会社高知アイス」がある。

有限会社高知アイスの本社兼工場

有限会社高知アイスの本社兼工場



代表取締役 浜町文也氏は鰹の一本釣り漁師だったが、映像関係の会社に転職し、その会社で食品部が出来た。その食品部の担当になり、アイスクリン(高知県で有名な氷菓)を全国百貨店の物産展への販売に携わることになった。これがアイスクリームとの出会いになる。その会社が片手間で食品部をしていたこともあり、採算が合わず3年で食品部の廃止が決定した。その時に各地方の顧客から「これが食べたくて食べたくて夢にでる!」「もう食べることが出来ないの?」という声があり、浜町氏は独立を決意し、今に至る。

高知アイスはMade in 土佐にこだわり、手作業で製造している。原料となる果実、野菜、米などは全て高知県産を使用しているので原価が高い。しかし、商品開発する上で浜町氏は「生産者の食材に対する熱意・取り組みを大切にしている。これ一筋で他の作物を作る気がしない。これに人生をかけているんだ!という意気込みを感じ、この人たちを日のあたる場所に連れていってあげたいと思う。そのときに創作意欲が沸き、大事な商品が出来る。」

代表取締役 浜町 文也氏

代表取締役 浜町 文也氏



生産者の思いをのせて商品化している同社が、何故ハラル認証のアイスクリーム製造を始めたのだろうか?

「取得しようとしたのは2年前のマレーシアでのジェトロ(日本貿易振興機構)の商談会だった。マレーシアはイスラム教徒が多かったので、ハラル認証してたほうが商談の進み具合や印象が良いだろうという理由からだ。またハラル認証に100万円オーバーの費用がかかるが、半分は県が助成してくれる制度があった事も踏み切った要因だ。

しかし、取得するのに問題点が2点あった。1つ目は安定剤の問題。アイスの品質保持や成分の分離をさせないように作るのに必要不可欠になり、ほとんどが豚の脂や豚由来のものが多かった。これは比較的早く代わりのものを見つけることが出来た。2つ目は砂糖の問題。これは安定剤よりも難航した。砂糖の精製工程で不純物を取り除く部分があり、じゅう骨粉(じゅうこっぷん)という牛・豚・鶏の骨を砕いた槽を通過させるろ過工程がある。ほとんどの業者がそのじゅう骨粉の工程があった。

この代替品を探すのに苦労したが、国内にじゅう骨粉を使わずに別手法でろ過する製糖会社が見つかった。工場にも直接見に行って確認をした。通常の上白糖よりも1.5倍近く高いが、これで問題点をクリアすることが出来、2013年9月13日にハラル認証を取得した。

ハラル認証商品

ハラル認証商品



今後の展開として浜町氏は「各国に高知アイスカフェを考えている。ハラル認証も取得しているので、より海外の方にも受け入れられやすいと思う。日本だと冬場にアイスの売上が落ち込む。だったら1年中暑い国で販売した方が良いんじゃないかと。ドバイやシンガポールなど各国を視察に回っていて、問題点も出てくるが可能性を感じている。」

同社は直営店の「高知アイス売店」を国道194号線沿いの仁淀川を眺める場所にオープンしている。人気メニューは幻の地鶏土佐ジローの卵を使った濃厚なソフトクリーム。こだわりのメニューとロケーションで「高知家の食卓」県民総選挙2015の仁淀川エリア第2位に選ばれる。味だけではなく接客・立地・雰囲気など総合的に県民が評価した店のみが投票される為、いかに県民に愛されているアイスなのかが分かる。

商品イメージ

商品イメージ



この店での販売戦略・オペレーションが今後のカフェ展開にも活かされることだろう。本気で頑張っている人を応援したい、土佐の魅力も発信したいという熱い思いがあるからこそ、ハラル認証など困難な問題もクリア出来ていると思う。浜町氏は陽気で明るい人だが、奥底に隠れている芯がとても強い印象を受ける。これからも妥協の無い魅力ある商品作りを期待したい。(取材=上野 真弘)

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