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全国から毎週視察に来る、高知県宿毛市の株式会社 与力水産”とは !?

すくも湾漁協は日本一の面積を誇る衛生管理型市場になる 魚の安心・安全・品質向上面の後押しの要因になっている
尾ビレの血抜き作業
神経抜きの作業
ウツボ 鯛 タコ エビ等の加工品になり これでもラインナップの一部に過ぎない
代表取締役の吉村 典彦氏

高知県南西部に位置する宿毛市で「株式会社 与力水産」は鮮魚の卸・加工品を直接飲食店に出荷している。豊後水道に大きく開口した恵まれた漁場と豊かな水産資源を背景に、日本の海産魚種の4分の3が生息しており、日本で唯一全ての漁法での収穫が許されているところでもある。

代表を務める吉村典彦氏は奈良県出身で高知の商社に勤めていた。しかし以前から興味のあった水産の仕事をするべく宿毛市の魚の養殖関係会社に転職をする。仕事をしていくにつれ一次産業(漁師)と3次産業(飲食店)の取引上でのパワーバランスに疑問を持つ。両者にとってWin-Winの関係を築くべく「地産外消」というコンセプトのもとに2008年に会社を設立する。6年目を迎えた今では全国の大手飲食チェーン店、高級フレンチ、料亭など名だたるお店から注目され、週1回、年間50回近く全国から現場を視察をされる。

仲卸業者や中央市場などを通さず、すくも湾漁協で仕入れたものを直接飲食店に送っている。間を通さないので納期が短縮出来て、そのうえ収穫~納品までのトレーサビリティが構築出来ている。なので飲食店の商品への要望などの情報がタイムリーに入り、すぐに商品に反映している。間に業者が入らないので利益幅が多くなり、それを漁師と飲食店に還元する。漁師が獲ってきた魚を高値で競り落し、飲食店には安く販売する。

商品の特徴としては血抜きを徹底している。尾ビレから血抜きをし、水でしっかりと洗い流す。血抜きが不十分だと血が身にまわり品質劣化になる。一般的に格好だけの血抜きをする処も存在するが、料理人の事を考え、調理する際に厨房が汚れないようにしている。

次に神経抜きをする。これで魚の身がやけるのを防いでいる。やけてしまうと風味、味、食感と全て品質劣化に繋がる。魚をさばいたすぐが美味しいと勘違いされがちだが、実は熟成させるほうが旨味を最大限に引き出せる。これで一番旨味が引き立つように調整し出荷している。「この一手間、二手間により魚の品質が全然違う。」と吉村氏は言う。

ある飲食店の人は「魚3kgお願いします。」とこれだけで注文終了する。与力水産が納品する魚はレパートリーに富み、全て旨いということを知っているからだ。

顧客を飽きさせない工夫として宿毛で採れる野菜や果物などを商品と一緒に入れている。宿毛市を盛り上げていく為にやり始め、料理人が視察に来るとなれば与力水産主催で生産者を集めて交流会・懇親会を開いたりしている。

宿毛というアクセスが悪い場所ながら常に顧客からの情報を仕入れ、都心のスピードに遅れることがないよう設備としてハード面を充実させ、社員全員が同じ志に向かって動いている。田舎のスピードに呑まれることなく、常に都心を意識していることが良い循環になっている。今まで暗黙の了解で当たり前のように流れていた流通過程に吉村氏、いや与力水産が風穴をこじ開けてくれたに違いない。間違いなくこれから四国の水産業を引っ張って行く存在になっていくだろう。

(取材=上野 真弘)

店舗データ

店名 与力水産 株式会社
住所 〒788-0014 高知県宿毛市大島16番37号
電話 0880-65-0609

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