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北新地から故郷 愛媛の味を伝え続ける 「料理や 八幡浜 はなれ」

30席程の店内は落ち着いた雰囲気
八幡浜直送の鮮魚を使用した 刺身盛り合わせ5種(2000円)
現地の状況により仕入れる魚も日々変わるが 魚の特徴に合わせた料理を提供
人気メニューの「八幡浜の鯛飯」(900円)鯛の刺身と生卵を合わせた八幡浜の名物料理
料理長の河野氏 魚の品質を確認する為に 現地の漁師と共に漁場に出向く事もある

「北新地」は大阪を代表する飲食店街であり、日本有数の歓楽街の一つである。曽根崎新地及び堂島周辺に位置するこの街には、ラウンジ、料亭を中心に料飲店が集中しており、年間800軒もの料飲店が入れ替わり立ち替わりしている。そんな西日本一の激戦区の街の外れ、四ツ橋筋 堂島アバンザの向かいに四国の食材、郷土料理を提供する繁盛店がある。

「料理や 八幡浜 はなれ」は愛媛県八幡浜市の食材を中心に郷土料理を提供している店だ。店主の毛利氏はこの八幡浜の出身で、15歳の頃に料理の世界に飛び込んだ。食材に恵まれた地元八幡浜で修行を積み、店も展開、そして8年前に故郷からこの北新地に店を構えた。客単価は6000〜7000円。客層の8割が男性客であり、年齢層も高い。北新地周辺はビジネス街でもある為、接待での使用も多いそうだ。新規のお客より、常連客が多く、その利用客は愛媛出身者や、愛媛に住んだ事があるという、故郷に縁のあるお客か大半である。無論、この店を通じて愛媛ファンになるお客も多い。

八幡浜市は四国でも有数の規模である魚市場を構えており、天然の良港として栄えている。サバ、ハマチ、イサキ、太刀魚といった魚は県内外の料理人からも評価が高い。また近年は養殖魚にも力を入れており、養殖鯛は東日本を中心に引き合いも多く、広く流通している。店で提供する鮮魚は全て八幡浜産に統一している。地元の漁師から直送で送られてくる魚は近隣の店舗にはない珍しい魚も含まれており、お客もそれを楽しみにしている。決して安くはない八幡浜産の鮮魚は原価率50%を越えるが、店では刺身、煮付け、焼き物、揚げ物等で余す事無く提供している。

鮮魚の産地を八幡浜に限定している為、リスクもある。八幡浜の海がシケれば、魚も入らない。「毎日気になるのは天気。大阪の天気より八幡浜の天気が気になる」と語る毛利氏。それでも八幡浜産にこだわるのには訳がある。郷土料理を楽しみにしているお客や、地元の仲間の為である。「常連のお客様は、仕事終わりの一杯も、若かりし頃の思い出が詰まった愛媛の郷土料理をつまみに楽しまれています。また一見で来店されるお客様にも愛媛八幡浜の魅力をお伝えしたい。店がきっかけで地元に賑わいをもたらせれば地元の漁師仲間も喜びます」

四国から県外に進出する外食オーナーはまだまだ少ないと毛利氏は言う。「当然ですが、地方と都心の賑わいは比べ物になりません。もちろん家賃は高いです。でも人口が圧倒的に違います。どちらを取るかですが、私は一人でも多くのお客様に自分たちの料理を味わって頂きたい。地方と都心の差をもっと単純に考えても良いと思います」

巨大都市大阪においては、飲食業界のトレンドを先行く、業態がひしめき合う。そんな中で四国の玄関口として愛媛の魅力を発信し続ける「料理や 八幡浜 はなれ」はこれからも地産に拘り、一貫した変わらぬスタイルでアプローチを続けていくだろう。

 

 

(取材=池添 翔太)

店舗データ

店名 料理や 八幡浜 はなれ
住所 〒530-0002 大阪府大阪市北区曽根崎新地1-3-3 好陽ビルB1
アクセス 地下鉄四ツ橋線西梅田駅 、JR東西線 北新地駅 から徒歩3分
電話 06-6345-7017
営業時間 昼 11:30〜14:00 夜 17:30〜23:00(土曜日は21:30)
定休日 日曜、祝日定休日
坪数客数 31席
客単価 6000〜7000円
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