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四国最南端に位置する土佐清水市で「ウェルカムジョン万カンパニー」は宗田節の加工・販売をしている。初めての商品である「だしが良くでる宗田節」がヒット。土佐清水市は宗田節の生産量日本一で全国の7割近く占めており、その大半は飲食店で使用されている。宗田節が瓶の中に入っており、その中にお好みの醤油を足すだけで簡単にオリジナルだし醤油が出来る商品になる。最近では秋葉原駅近くの高架下に出来た「CHABARA」内の日本百貨店でも販売している。

代表者である田中 慎太郎氏は生まれも育ちも高知県土佐清水市。高校卒業後、東京で3年間過ごし、実家の家業であるLPガス販売業をいずれ継ぐのだろうとは考えていたが、就職先の家具屋が倒産し土佐清水市に帰ることになる。短期間ではあったが土佐清水市を客観的に見ることができ、地元の良さに気づく。自然と「土佐清水市をもっと有名にしたい。」との思いが芽生える。

「だしが良くでる宗田節」はひょんなキッカケで出来た商品になる。土佐清水市を知ってもらうには何を商品化するのが良いのかと日々考えており、そんな時に節工場の人が割れた宗田節を醤油に漬け込んでいるのを発見。味見をしたところ非常においしいだしが出ており、これをヒントにすぐに商品開発に至ったそうだ。

素材がそのまま商品の味を左右するため、脂が少なく上品なだしが出る笹メジカ・寒メジカの宗田節を厳選して仕入れている。また瓶の中に40g程度の宗田節が4本入っている。節が細かすぎると口当たりが悪くなり、数か月でただの醤油になってしまう。長く使ってもらい、いずれ家庭の味としてファンになってもらうことを理想としているので、1年間継ぎ足していけばだしが出るようにしている。

商品の販売先としては基本的に高知県内のお土産屋・スーパー、県外でも高知県のセレクトショップになる。小規模で生産しているため、大口対応が難しい。特に対面販売にこだわっている為、「もろたら美味しかったけん、もう5本ば欲しいがやけど。」という電話注文が多いそうだ。注文が多くなり、商品製造がやっつけ仕事みたいに雑にならないように、1つ1つ丁寧に作ることを大切にしている。

現在、宗田節工場の後継者不足に悩まされており、16社～20社ぐらいしかない。仕事が大変にも関わらず利益があまり出ていないのが原因だと思われる。この商品が売れることにより、商品開発の活発化や節工場の活性に繋がればと考えている。

「今後の展開としては小さな個人商店でもいいので客と対面販売が出来て、そこから繋がりが生まれ、土佐清水市を知ってもらいたい。少人数でも全力で品質の良い商品を提供していければと思う。また海外に進出したい気持ちがあり、姉妹都市であるアメリカ マサチューセッツ州フェアヘーブンで土佐清水の物を販売・紹介を必ずしたいと思う。これは地元の偉人であるジョン万次郎が繋いでくれた出会いであり、先人の思いを後世にも引き継いでいかなければならない使命だと思っている。」

地元PRや先人の思いを強く引き継いでいる数少ない人物がこの田中氏だと思う。ただ商品を売り、利益を出すのではなく、あくまで土佐清水市の良さを消費者に伝えることでファンを増やす。この地道な活動が「だしが良くでる宗田節」をヒット商品にまで導き、今なお売れ続けている。また気がつけば土佐清水市の商品がスポットライトを浴びる日が来るだろう。今後も注目して見守り続けていきたい企業である。

（取材＝上野 真弘）

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