一時期のうどんブームが去り行く中、現在も香川県が全国的に脚光を浴びている要因、それは何を隠そう「瀬戸内芸術祭」に他ならない。 夏会期も始まり「アートと瀬戸内の島巡り」という観光資源が多くの県外観光客を迎えている。そして全国から観光客が集まるこの流れに合わせて、県産品の普及を目的としたイベントも多数開催されている。今回は8月4日、高松駅の北側に位置するサンポート高松 大型テント広場(香川県高松市サンポート2-1)にて、県産品である「にんにく」の普及を目的とした食の祭典「第一回ガーリックフェスティバル」の様子をレポートする。
にんにくの生産地と言えば誰でも青森県が頭に浮かぶが、次いで生産量2位を誇るのが香川県である。県内で最も多く生産されているのは、金比羅山で有名な琴平町、また善通寺市や観音寺市なども生産地として定着している。香川産のにんにくの特徴は、肉厚で香り高い事に加え、加工に適していると言われている。香川県のご当地グルメの代表でもある「骨付き鶏」の味付けには県産のにんにくが多用され、鶏肉との相性の良さが際立っている。しかしこのポテンシャルの高い食材も現状では知る人ぞ知るの状態であり、四国でもまだまだ知れ渡っていない現実がある。そこで、香川県内の若手にんにく生産者が集結し、平成25年度高松市観光プロモーション認定事業として「ガーリックフェスティバル実行委員会」を結成。この度のイベントの開催にこぎ着けた。
そもそも「ガーリックフェスティバル」は、米カルフォルニア州ギルロイ市が発祥の地である。1978年に第一回が開催され、現在では人口約5万人の町に3日間で約15万人を集客する一大イベントに成長している。そういった海外の実績も手伝ってか、このイベントにかける思いも皆一様に強い。第一回の成功が今後のイベント継続に向けても大きな影響を及ぼすため、出展している生産者の気迫を鬼気迫るものを感じた。生産者の一人は語る。「香川県産のにんにくは、味に定評があるにも関わらず、知名度が低く、安価な中国産にんにくの輸入攻勢で県下のにんにく農家は年々非常に厳しい状況に置かれています。そんな中、今年は瀬戸内芸術祭も開催されているので、香川産にんにくことを知って頂くチャンスだと思っています。」
会場では県内外の名店22店が香川産にんにくを使った自慢のにんにく料理を提供していた。県内ブースで目立っていたのはB級グルメとしての地位も確立してきた「宇多津ホルモン」や、にんにくの加工品、黒ニンニクの「サヌキのバカヂカラ」は人気を博していた。県外からの観光客も引っ切りなしの状態で、本州ではまだ見ぬその食べ物に皆、興味がそそられている様子であった。また県外では東京から、絶品グルメカウントダウンで1万店の中から第1位に選ばれた名店「イベリコ豚オンドル」や、アイアンシェフで名高い完全予約制のラーメン店「GENEI.WAGAN」、岡山県笠岡からは全国各地のイベントで人気を博す屋台ラーメン「味々亭」などが出店していた。いずれも一時的には長蛇の列を成している様であったが、時間が経つと客の殆どは地産の食べ物を求め、地元の出店ブースに足を運んでいた。これも瀬戸内芸術祭の影響で、来場者の多くが県外客であった事があげられる。
近年四国においては、若手生産者がビジネスコミュニティを形成し、チームとしてビジネスを実践する傾向が多く見受けられる。彼らは一丸となり、県外だけでなく東南アジアやヨーロッパといった世界に目を向けて販路を見いだしている。「ガーリックフェスティバル実行委員会」も同様に若手生産者の集まりであり、それぞれにイベントや新商品の開発を進めてはチームとしてメディアへ露出し、PRを続けている。四国の生産者集団の今後の動きに注目したい。
(取材=池添 翔太)
店舗データ
店名 | ガーリックフェスティバル2013 |
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住所 | 香川県高松市サンポート2-1 |
電話 | 087-822-8760 |
運営会社 | ガーリックフェスティバル実行委員会(株式会社オックス内) |
関連リンク | ガーリックフェスティバル2013 |