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日本有数の温泉観光地である愛媛県松山市道後に24年12月13日にオープンしてまもなく1年を迎えるイタリア料理店「道後イタリアン イル・ポジターノ」がある。日本最古の温泉として有名な道後温泉本館を南に50m進んだところにオーベルジュ道後ホテルがあり、その施設内B1F・1Fに店が入っている。ホテルは株式会社タケシリゾート&ホテルズが運営しており、愛媛県で手広く飲食店展開している株式会社タケシカンパニーの系列になる。このホテルが贈る道後サプライズの1つとして同店がある。株式会社タケシリゾート&ホテルズ 代表取締役社長 米屋武史氏がイタリア視察でアマルフィ海岸のリゾート地に魅せられ、出身地である愛媛の道後に照らし合わせる。そしてこの場所ですることを決めたそうだ。道後周辺にほとんどイタリア料理店も無いことから、より店が際立ち注目を浴びている。


シェフの中原氏は専門学校を出てからイタリア料理に携わり、途中料理の幅を広げる為にフランス料理も学ぶ。店の特徴である“道後イタリアン”は道後でしか食べれない、道後だから作れる料理として、愛媛県産の野菜・魚をふんだんに取り入れている料理になる。愛媛にはイタリア野菜を作っている農家が多く、関東の飲食店でイタリア野菜が手に入らないのでわざわざ愛媛まで訪れる人もいる。


毎年イタリアで開催されるピッツァワールドカップ2011年優勝者の矢野浩一氏監修のナポリピッツァが本格薪窯で焼き上げられる。これも客を魅了する1つになる。ランチ・カフェ・ディナーをしており、テラス席も完備。ピザと前菜を頼んでワインを飲む客もいるそうだが、ラフな立飲みバールでもなければ、リストランテでもない。丁度その間に位置する。なので客層としては幅広い。料理もお手頃でランチ1000円~1600円で全6コースと多い。ディナーも今の季節限定でクリスマスコース7000円を用意している。ワインは2000円~4500円台が多く、次にカクテル・ビールと合計77種類。観光客の為に地元道後ビールや道後カクテルといったドリンクメニューも取り揃えている。


食事制限のある客には料理の減塩対応をしている。常連客になるとシェフ・スタッフがその人の味の好みや塩加減を覚えており、自然と客に合ったベストな味付けで提供している。週末は予約が多く、特に10月~11月が1年で一番忙しい。観光ツアーが最も多く企画されるという要因も大きい。ピークで1日300名、平均200名の客数になる。


今後店としては中原シェフ曰く「観光に来て食べてくれた客が、今度はオーベルジュ道後に宿泊し、店の料理を食べてもらえるように回っていくのが理想」


観光客が通る目立つ場所に店を構え、道後イタリアンを生み出したことで地元食材のPRとホテル繁盛の成功に繋がっている。そういう意味では生産者と観光客への橋渡しとしての役割を担っている。愛媛を盛り上げようとする思いが店に反映され、これからもその思いを持ち続け、更に新たな価値を生み出してくれることを期待してしまう。

（取材＝上野 真弘）

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