昔の街並みが未だ残る愛媛県松山市の三津浜。近年、三津浜を盛り上げるべく様々なイベントや地域おこしに力を入れている地域になる。その商店街に昨年9月7日に気軽に立ち寄れるフレンチ大衆食堂「三津浜 サンジャック」がオープンした。
オーナーは東京から移住してきた平林知己氏と未智子氏の夫妻になる。元々、東京の西荻窪で酒・料理・音楽の満足出来るセレクトショップのような店として営んでいた。知人の紹介もあり、かねてから考えていた海近くの新天地を求めて三津浜への移住を決意。知己氏は「食材がとにかく美味しい。そして港町独特の不思議な包容力がある。知らない人に対しても気さくに話しかけてくれる。愛媛の食材と人柄に魅了された。」
メニューは主に愛媛県食材を使用した一品料理になり、価格帯が350円~850円。魚介・肉料理、ごはんもの、小皿つまみと全13~15種類のメニューになる。ほぼ毎日メニューを変更するため、少なくても飽きがこない。知己氏が自ら釣ってきた魚介類や愛媛県ブランド豚である媛ポークや伊予牛など厳選した旬の食材にフレンチのエッセンスを盛り込んだメニューを展開。ランチはおかず3種類にご飯・スープ・サラダが付いて850円。夜にも定食があり、1000円~1200円。ドリンクはワイン1グラス500円、焼酎500円、ビール・カクテル600円と全体的に安価に設定されている。「料理もライブも楽しんで満足して帰ってもらいたい。だから5000円払ってもお釣りが返ってくるように価格を設定している。そして満足したお客さんがリピーターになってもらえれば嬉しい。」
店内は学校の勉強机やイスを利用し、レンガ調の壁紙など茶色を基調としたどこか懐かしい温かみのある雰囲気になっている。この気さくな雰囲気が老若男女問わず客が来店する理由の一つになっている。
今後の展開としてお惣菜のネット販売を考えている。試験的に年末に始めて、まずまずの手ごたえを感じている。愛媛県食材の魅力を全国に知ってもらい、三津浜商店街が元気になることが最終目標。未智子氏は「胃袋を掴むことがリピートに繋がる。旬の物を販売し、1年通じて長く購入してくれるファンを増やしていくことが私達に出来ることだと思う。あくまでネット販売は元気にしていく方法の一部で、いずれ商店街も巻き込んで出来ればと考えている。」
今回、他県から移住してきた人との考え方の違いを感じる。地元人は過去の繁栄から今に至るまでを知っているが故に「シャッター商店街を取り戻す。人を集客する為に新しい取組みをしよう。」とマイナスからプラスに変えようとしている。しかしそれが間違っている。「東京とは違いストレスなく料理を作れる喜びを感じ、人の温もり、町の雰囲気に魅了され移住を決意した。今でもこれだけ魅力があるのに、なぜプラスを更に伸ばそうとせずにマイナスからスタートするのか。」この視点は地域再生をするのに非常に重要だと思われる。今一度足元を見つめ直し、外部からの意見に耳を傾けるべきではないだろうか。今後の「三津浜サンジャック」の動きが非常に楽しみだ。
(取材=上野 真弘)
店舗データ
店名 | 三津浜サンジャック |
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住所 | 〒791-8062 愛媛県松山市住吉2-6-14 |
アクセス | (車の場合)松山ICから25分 (電車の場合)伊予鉄高浜線 三津駅から徒歩5分 |
電話 | 089-952-3120 |
営業時間 | 11:30~14:00 17:30~21:00 |
定休日 | 月曜日 |
坪数客数 | 16席 |
客単価 | ランチ850円 ディナー2500円 |
喫煙環境 | 禁煙 |
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